美術館では作品保護の観点から光や熱等を避けるため、一般的には開口が少ない構造となっています。対面に位置する「東広島芸術文化ホールくらら」との連携を視野に入れた東広島市立美術館では、美術館本来の機能を維持するとともに、目の前に拡がる西条中央公園やくららをロビーから眺め、そして反対に公園やくらら側から美術館を覗くことができる双方向に開かれた「窓」にすることで、開放感のあるロビー空間となっています。
幾何学的なユニットの構成によって外部から差し込む光を絞りつつ、内部からは開放的に外を眺めることが可能なこの窓は、特徴的な意匠を生み出しながらも、日本の城にみられる狭間のように、外からは光が入りにくく中からは視界を確保しやすい、という実用性を兼ね備えています。